豪ドル/円相場は、92円台後半まで値位置を切り上げている。日経平均株安と連動した円高圧力が一服する中、改めて豪ドル買い・円売り圧力が強くなっている。対米ドルでの豪ドル売り圧力も一服しており、ドル/円相場の堅調地合がそのまま豪ドル/円相場にも波及している。
7月2日のオーストラリア準備銀行(RBA、豪中央銀行)理事会の声明では「インフレ見通しが追加緩和の余地を与える可能性がある」、「豪ドルは依然として高水準」といった6月と同様の見方が示された。ただスティーブンス総裁は資源ブームの終わりという過渡期を乗り切るには豪ドル相場下落の支援が必要との見方を示したことで、マーケットは追加利下げのリスクを強く警戒している。同総裁は、理事会では「非常に長い時間にわたる議論」が行われたことも明らかにしており、これは追加利下げについての検討が行われた証拠との見方が強い。仮に11日に発表される6月雇用統計が下振れすると、改めて早期利下げ観測を織り込む形で、豪ドル売りのプレッシャーが強まる可能性がある。15日には中国の主要経済指標の発表も控えていることに注意が必要。
ただ、豪ドル売り圧力は主に対米ドルに限定される見通しであり、豪ドル/円相場は堅調に推移しよう。国際通貨基金(IMF)は13年の世界経済成長見通しを引き下げたが、世界的に株高傾向が強まる中、円の上昇余地は限定されている。5月下旬から6月上旬にかけての急激な円高は、アベノミクスに対する信認低下というよりも、単純に株価急落が嫌気されてポジション調整が進んだだけであることも確認されている。米株価は過去最高値更新を再び窺う展開になっており、ドル/円相場の堅調地合と連動して、豪ドル/円の底固さも再確認されると見ている。
今後1週間の予想レンジは、91.50~94.50円。